大規模インスタレーション「SOAR」

 6ヶ月にわたる大規模プロジェクト、ついに完成へ

6か月以上にわたるデザイン、試作、制作、設計、そして準備期間を経て、アメリカ・テキサス州プレイノのSt. Andrew Methodist Churchで進められてきた大規模折り紙インスタレーション「SOAR」が、ついに完成を迎えました。

St. Andrew教会の創立40周年を記念して企画されたこのプロジェクトでは、教会内にある3つの礼拝空間のために、1,800羽を超える折り紙の鳥を制作。そのうち約1,000羽が、メインの礼拝堂を彩ります。

この大規模プロジェクトの企画からデザイン、3Dレンダリング、Brooklyn Studioでの制作までの舞台裏については、前回の記事で詳しくご紹介しています。

ニューヨークからテキサスへ

2026年8月29日、Brooklyn StudioのFrankとOliverがすべての設置機材・作品とともにニューヨーク・ブルックリンを出発。約1,500マイル(約2,400km)の道のりをわずか48時間で走り、テキサス州プレイノに到着しました。トラックに積み込まれていたのは、Brooklyn Studioで制作した大量の折り紙の鳥、専用の大型ネット、吊り下げ用の資材、そして現地での施工に必要な機材。数か月にわたってニューヨークで進めてきたSOARは、ここからいよいよ現地での設置作業へと移ります。

今回の施工に向けた準備は、数か月前から始まっていました。

デザイン段階ではFrank LingとBen FriesenがSt. Andrew教会を訪れ、実際の空間を計測。3Dレンダリングを制作し、一羽一羽の配置や、鳥の群れが建築空間の中でどのように見えるのかを検討しました。また、数千羽規模の鳥を安全かつ効率的に設置するため、専用の吊り下げシステムも設計しました。鳥を一羽ずつ天井から吊るすのではなく、大きなネットにあらかじめ取り付け、作業しやすい高さで全体を組み上げた後、ネットごと天井付近まで吊り上げます。こうすることで、数百羽もの折り紙が一つの大きな群れとなり、立体的な空間をつくり出します。

SOARを設置するのは、教会内にある3つの礼拝空間。

最初にチームが取りかかったのは、その中でも最大となるメインの礼拝堂でした。

***

***

メイン礼拝堂に広がる鳥の群れ

8月30日の日曜礼拝後に、本格的な設置作業がスタートしました。

SOARで使用されているのは、タロー・ヤグチがデザインした2種類の鳥です。赤いカーディナルは、すでにこの世を去った大切な人々を象徴し、そこから白い鳩へとつながっていくことで、現在私たちの周りにいる大切な人々を表現しています。

広大な礼拝堂への設置は、大掛かりな作業となりました。ネットを吊り下げるロープを取り付けるため、スタッフは教会の天井付近に設けられたキャットウォーク(高所作業用の通路)まで上がる必要があります。Brooklyn Studioでは平面のネット上に配置されていた数百羽の鳥。それを巨大な礼拝堂の建築空間に合わせて立体的に配置し、一羽一羽が群れ全体の形や動きをつくり出すよう調整していきます。

***

***

Taro’sチームは事前に作成した設計をもとに鳥を取り付け、間隔や向きを確認しながら、完成したネットを少しずつ天井へと吊り上げました。

鳥を吊るす糸の長さを変えることで、それぞれの高さにも変化をつけています。平面的に鳥を並べるのではなく、群れ全体が空間の中を飛んでいるように見せるためです。一羽一羽の位置が精密に決められており、設計図に従って設置しながら細かな確認と調整を繰り返します。

作業は一週間にわたって続き、金曜日にはメインの礼拝堂への設置が完成。1,000羽を超える白い鳩と赤いカーディナルが礼拝空間の頭上に広がり、巨大な鳥の群れが空間を飛び交うような光景が生まれました。

***

***

地元メディアも取材

メイン礼拝堂で最後のネットを吊り上げる際には、地元メディアも現地を訪れました。

完成の瞬間とそのスケールを取材するため、テレビ局や新聞など複数のメディアがSOARを紹介しました。

WFAA ABC 8、Plano Star Courier、DFW NBC 5など、ダラス・フォートワース地域のメディアを通じてもプロジェクトの様子が伝えられました。

***

WFAA ABC 8

***

PLANO STAR COURIER

***

DFW NBC 5

***

***

タロー・ヤグチもテキサスへ

9月6日(日)、完成したメイン礼拝堂のインスタレーションがSt. Andrew教会の会衆に披露されました。

この日に合わせ、Taro’s Origami Studio創設者である折り紙アーティスト、タロー・ヤグチも現地へ。教会の皆さんの前で、今回SOARプロジェクトのためにデザインしたカーディナルの巨大折り紙パフォーマンスを行いました。

***

***

***

実際に一枚の紙からカーディナルが生まれていく過程を見ることで、頭上を飛ぶ一羽一羽の鳥がどのようにデザインされているのか、その複雑な構造も間近で体験していただく機会となりました。

礼拝ではTaro’s Origami Studioの制作・施工チームも紹介され、完成した作品がステージ照明に照らされた姿も披露されました。

***

***

***

***

さらにHasley Chapelへ

しかし、メイン礼拝堂の完成はSOARの第一段階にすぎません。

9月6日の礼拝とお披露目を終えると、チームは2つ目の空間となるHasley Chapelでの施工に取りかかりました。

Hasley Chapelでは、メインエントランスから礼拝堂の奥へと鳥の群れが続き、天井付近の十字架へ向かって上昇していくような構成になっています。メイン礼拝堂とは形状も大きく異なり、より細長い空間に作品を合わせる必要がありました。天井への作業には高所作業用リフトを使用し、約650羽の鳥を設置しました。

***

***

***

***

日曜礼拝終了後から作業を開始し、約2日間でHasley Chapelへの設置が完成しました。

さらに、3つ目となるSmith Worship Centerには、St. Andrew教会のチームによって約200羽が設置されました。

3つの空間を合わせると、その数は約1,850羽。

同じSOARというコンセプトをもとにしながら、それぞれ異なる建築空間を活かした3つのインスタレーションが完成しました。

***

***

教会創立40周年を彩るSOAR

SOARは、9月13日にクライマックスを迎えたSt. Andrew Methodist Church創立40周年の記念行事の一部として設置されました。

数か月前、ニューヨークで始まったデザインと設計。そこから数千羽に及ぶ折り紙の作成作業、配置の検討、吊り下げシステムの設計、輸送、そして現地テキサスでの施工を経て、教会の40周年を祝う空間インスタレーション、SOARが完成しました。

完成した作品だけを見ると、空を飛ぶ鳥たちの群れという、とてもシンプルな光景に見えるかもしれません。

しかし、その背景では、紙の選定、折り方、配置、吊り下げ方法、鳥同士の間隔、建物の構造による制約など、一羽一羽に対する数えきれないほどの検討と作業が必要となります。そして作品が完成すると、そうした技術的な工程はほとんど見えなくなってしまいます。

そこに現れるのは、一羽一羽の小さな折り紙の鳥が集まり、一つの大きな群れとなって、人々の頭上を飛んでいく光景です。

それは、一人ひとりの人々が集まることで一つのコミュニティが生まれる、教会という場所の姿にも重なります。

ブルックリンで一枚の紙と一つのデザインから始まり、数か月にわたる制作を経て、アメリカ大陸を横断してテキサスへ。

Taro’s Origami Studioの大規模折り紙インスタレーション「SOAR」は、ついに大空へと羽ばたきました。

***