2025年5月、ニューヨークのBlue Gallery (222 E 46th St, New York)で開催されたレーベル・ローンチイベント「Ignition25」。

作曲家でサクソフォン奏者のPatrick Zimmerli氏が率いるアンサンブルが、最新アルバム『Songs of Innocence』を披露しました。
Chris Tordini(ベース)、Theo Bleckmann(ヴォーカル)、Satoshi Takeishi(パーカッション)といった世界的ミュージシャンが参加し、
音楽と芸術が響き合うその空間の一角に、折り紙をモチーフにした特別仕様の初回限定版CDパッケージが展示・販売されました。

そのデザインを手がけたのが、私たちタローズ折り紙スタジオです。

プロジェクトの始まり

このコラボレーションのきっかけは、パトリック氏から届いた一通のメッセージでした。
「新しいアルバムのCDジャケットに、折り紙を取り入れたい。」
その言葉を受けて、スタジオ代表の矢口太郎は、こう提案しました。
「それなら、CDジャケットそのものを折り紙にしてみましょう。」

この発想から、400年以上前に日本の僧侶によって考案された折りの形式「たとう」をベースにしたデザインが誕生しました。
「たとう」は、文書や贈り物を包むために使われてきた伝統的な折り紙技法であり、「包む」ことそのものに意味を持つ造形です。
音楽を守り、思いを伝えるというこのアルバムのテーマと深く共鳴し、“音を包む折り紙”という新たなアートフォームが生まれました。

試作と制作のプロセス

この作品の制作では、折り紙と印刷技術の両立が大きな課題でした。
紙の厚み、折り目の精度、フォームハブの位置、リボンの結び方まで、細部に至るまで試行錯誤が重ねられました。
Cricutを使ったスコアリングテストを繰り返し、折りの美しさを損なわないよう紙質やラミネート加工を調整。
印刷の割れを防ぐための工程はまさに「職人技」であり、アートと技術の融合と呼ぶにふさわしいものでした。

完成した折り紙ジャケットは、立体的な造形と繊細な光沢を併せ持ち、
音楽を「包む」という行為に新たな意味を与える仕上がりとなりました。

音楽と折り紙の出会い

Songs of Innocence』は、純粋さ・再生・内なる自由をテーマにした作品です。
折り紙もまた、一枚の紙が折りを重ね、新たな形として再生する芸術。
音楽と折り紙は、異なる分野でありながら、その精神は共通しています。

“The endless flow of creativity exists within each of us.”
— Taro Yaguchi

この言葉の通り、創造の流れはジャンルを越えて繋がり、音と形がひとつの作品として響き合いました。

Ignition25での発表

今回のプロジェクトで生まれた折り紙パッケージは、パトリック氏が設立した新レーベル
Emergence Music Productions (EMP) のお披露目イベント「Ignition25」で初披露されました。
Blue Gallery(ニューヨーク)の会場では、音楽と折り紙が共鳴し合い、観客は耳だけでなく目でもアートを体験することができました。
音と紙、構造と感情、デザインと演奏——それらすべてが交差した、まさに「音楽が折り紙になる夜」でした。

プロジェクトを終えて

このプロジェクトを通して、私たちタローズ折り紙スタジオは、折り紙が持つ新たな可能性を再認識しました。
折り紙は単なる紙の造形ではなく、文化・思想・感情を包み込み、伝えるためのデザインです。
音楽という無形の芸術を折り紙で「包む」という試みは、まさにその象徴でした。

これからも私たちは、折り紙を通じてアートとクラフトの境界を越え、ラッピングやパッケージ、箱など“包むデザイン”の領域を広げていきます。
折り紙の新しい可能性を、世界へ——。
それが私たちスタジオの使命です。