開催日:2025年9月20日
会場:Brooklyn「Japan Village」2階イベントスペース
出演:タロー・ヤグチ(Taro’s Origami Studio)/ダンサー・泉カイ(Kai Izumi)

折り紙は、完成したモデルで魅せる静的アートであると同時に、折りの過程や時間そのものが表現としてダイナミックなアートになる。9月20日、ブルックリンにあるJapan Villageで行った巨大折り紙パフォーマンスでは、折り紙アーティストのタローヤグチ氏が約1.5m四方の紙を空中で吊りながら折る独自のスタイルに、ダンサーの泉カイさんの身体表現と音楽演出が重なり、会場は“折り過程”を共有する一体感に包まれました。

折る“過程”を見せるということ

巨大な紙を空中で吊り下げ、折り目を探るように角度やテンションを変えながら、少しずつ折り進めて形を作り上げていく——本公演の核は、完成形に至るまでのプロセスの公開です。紙の繊維がきしむ音、折り目に光が走る瞬間、その都度生まれる偶然のゆらぎ。観客は作品の“誕生”に立ち会い、目の前で形が意味を得ていくダイナミズムを体感しました。

“Origami is not only about the final form, but also about the process.
Folding giant paper in mid-air is always a challenge, but it brings people together in a very unique way.
And music is also an essential part of creating this experience.”

「折り紙は完成した形だけでなく、その過程も大切です。
空中で巨大な紙を折ることは常に挑戦ですが、人々を特別な形でつなげてくれます。
そして、音楽もこの体験をつくり上げる大切な要素です。」

  (タロー・ヤグチ)

ダンスと折り紙の呼応——泉カイが引き出す“間”

共演した泉カイさんは、折りのリズムを身体でトレースし、時に紙の重心移動を支え、時に観客の視線を導く“ガイド”の役割を担いました。ダンスが示す「間(ま)」が、折り紙の手順の切り替えや力のかけ方を際立たせ、ひと折りごとに空間の温度が変わっていきます。視覚・触覚・聴覚が同時に動く、多層的な鑑賞体験が生まれました。

音楽とプロジェクションマッピングがつくる没入感

本公演の音楽は、テンポや強弱の変化で折りのテンションを支え、観客の呼吸を作品へスムーズに同調させました。リズムが速まると紙の折り返しは鋭く、音が抜けると手元の繊細な調整に視線が集中する。音楽は単なるBGMではなく、折りの“見え方”を設計する演出装置として機能しています。また、本公演ではプロジェクションマッピングを用いて折りの過程に連動させて映像表現を加えました。

会場の空気——“参加型”に近い近接感

手を伸ばせば届くほどの距離感で行われるパフォーマンスは、観客の表情や立ち位置の変化がそのまま舞台の一部になります。子どもたちの好奇心に満ちた視線、スマートフォン越しに切り取られる瞬間、折り上がるたびに起こる小さな拍手。“見守ること”が参加になる——その近接性こそ、空中で折るライブならではの魅力でした。

今後について

このパフォーマンスでは、紙が平面から三次元へと、光と影が面の継ぎ目で交差する彫刻的な存在として立ち上がる過程を表現しました。折り紙として通常使用する大きさの紙よりもはるかに大きな紙を使用しながらも、折線が導く最短距離の動きは軽やかで、紙という素材の可能性を示す結果となったと思います。

今後もブルックリンをはじめ各地での実施を視野に、「過程を共有するアート」としての折り紙を広げていきます。最新情報はTaro’s Origami StudioのSNSでお知らせします。

  • 折り紙パフォーマンス:Taro Yaguchi(Taro’s Origami Studio)
  • ダンス:Kai Izumi(Taro’s Origami Studio)
  • 会場協力:Japan Village Brooklyn
  • 撮影:Shintaro Ueyama
  • Projection Mapping: Nanae Itoi
  • Direction: Taka Matsushita